好きなことをいろいろと
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列車が遅れたため、予定を大幅に遅れて駅に到着。ずっとここへ来たかった。ガンジス河の街、バラナシ。
通りは、ひとと牛とやぎと車とバイクとリクシャーがあふれ、風は砂埃にかすんでいる。すこし歩くだけでも溺れるほど汗をかく。
時間がないから到着後すぐ、ブッダが悟りをひらき、最初に説法をした場所、サールナートへ。バラナシ市街からは車で約一時間ほど、でこぼこの道と荒っぽい運転のおかげで退屈しない。車の窓から街をながめているのはたのしいし、サールナートへ近づくにつれ、風景がそっけないほど素朴になっていくのもおもしろい。あらゆるいきものが溢れすぎてる市街地と、ひっそりとしている郊外。インドはほんとうにほんとうに広い。
遺跡のあいだを縫ってひととおり歩き回ったあとは博物館を見学。ここに、ぜひお会いしたかった神様がいた。
チャームンダー。死の女神といわれ、それはおそろしい姿をしている。しぼんで垂れさがった乳、痩せ細ったからだ。肌は病み、蠍の毒におかされ、首には生首を飾っている。この世のあらゆる苦しみを背負い、バンヤン樹の下、死骸の上で躍る。
世界は美しいものだけじゃないから、苦しみをだれかが引き受けないといけないのかもしれない。それなら愛や幸福をつかさどる神様だけを崇拝するわけにはいかない。
チャームンダーはしぼんだ乳で人々に乳を与える。ほんとうの苦しみを知る彼女にしか、慰められない傷があると思う。
相反するふたつのものが混ざり合ってる。病と癒し、生命と死、どちらか片方が欠けても、世界は調和をなくしてしまう。なかったことにはできないし、見ないわけにはいかない。
学生のころに遠藤周作の『深い河』を読んで以来、チャームンダーがずっと好きだった。遠すぎてこの旅ではとても行かれないけれど、チャームンダーをまつる寺院があると教えてもらった。いつかかならず訪ねてみたい。
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